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執筆者の写真Keiori Takagi

三月の雨


棒、石、道の終わりに

切り株でお休み 少し一人で

細かいガラスの破片、それは命、それは太陽で

それは夜、それは死、それは罠、それは銃

オークの木が花咲くとき

茂みのキツネ 木の枝の節目が

ツグミの鳴き声 

風になびく木 崖 転んで

引っかき傷 こぶ

ぜんぜん平気

自由に吹きわたる風 坂道の終わりに

表情をよぎる一筋の光 喪失感 予感 希望

川辺から三月のせせらぎが聞こえる

全ての苦悩は終わり あなたの心に 喜びあふれ出す

足、地面、骨のついた肉

道の振動、ゴムぱちんこの石

魚、稲光、銀色に輝く白熱光

争い、賭け、弧を描く 射程範囲

夜中を回ってからベッドに入る 詩の終わり

表情の不安感 失って 見つけて

ヤリ、太い釘、先のとがったもの、ツメ

ポタポタ、しずくが

お話の終わり

トラックに積まれたレンガ、やさしい朝の光の中で

夜更けに響く 銃の音

1マイル、必要 強く押されて、衝突

女の子、韻を踏んだ詩、寒気、おたふく風邪

家の見取り図、ベットの中の体

そして立ち往生した車、ぬかるみが、ぬかるみが

浮かんで、漂って、飛び立つ 翼

大鷹でも、ウズラでも それは春の約束

川辺から三月のせせらぎが聞こえる

全ての苦悩は終わり あなたの心に 喜びあふれ出す

蛇のようなやつ、棒みたいなやつ、それはジョンとジョーで

手のひらのトゲ、それかつま先の切り傷

点、粒、ミツバチ、噛まれた

まばたき、ハゲタカ 予期せず夜の訪れ

留め針、縫い針、刺す、痛み

かたつむりみたいにのらくら、不可解なもの

スズメバチみたいに気難しい人、染み

山々の小道、馬とラバ、はるか向こうの岩だな

乗馬した3つの青い影

川辺から三月のせせらぎが聞こえる

いのちの約束 

あなたの心に あなたの心に

棒切れ、石ころ、苦労の終わり

切り株でお休み 人気のない寂しい道

ガラスの破片、いのち、太陽

夜、死、流れの終わり

川辺から三月のせせらぎが聞こえる

全ての緊張からの解放 

あなたの心に 喜びあふれ出す

Antonio Carlos Jobimがポルトガル語とは全く別に、英語圏の方に届くように歌詞を考えた”Waters of March”。長いこと思っていたのですが、自分がこの曲を聴きながら連想するイメージと、インターネットでどなたかがUPしている和訳が乖離している箇所がチラホラ。意味が繋がっているようで繋がらなくて。結局私の脳内バージョンを頭から引っぱり出してきましたのでここに記します。

意訳もあり、あくまでイメージ。正しさではなく。たとえば"rest"という言葉を聞いて"休息、休憩"を1番に連想したか、それとも"(切り株の)残り"ととったかはどうでもいいです。1番初めに思いつく簡単な訳と、もしかしたら3、4番目くらいにくるやつなのかもしれないねと、聴いた人がイメージを共有できれば。Antonio Carlos Jobimがいくつかの意味を思いつくように言葉を選んだところがオシャレというか、日本語になると個別になってしまう単語は、英語的に共通のイメージで描けているという、そういうこと。

個人的には超納得、どの訳よりMuch betterです。なぜなら次の歌詞を連想しやすい形にこだわったからです。そこはやはり、なめらかな訳かどうかより、歌う人目線です。


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