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執筆者の写真Keiori Takagi

取捨選択、断捨離、守・破・離


平成最後の秋に。数年前は時間出来たらジャズを歌うことだけで。1人親の持てる自分の時間言うても、朝晩の通勤に音源聴いて歌って、帰って娘が寝る準備できたら譜面作って。疲れて途中で寝てしまったら朝早く起きて少しやって、朝ご飯食べて学校まで送り届けたらまた通勤電車内で音聴いて、駅から16分かかる歩き時間歌う…の繰り返しだった。給湯室で洗い物するのが好きで。手は動かすけど頭は少し空くから、小声で歌ってる。 譜面が出来たら職場帰りにスーパーのコピー機で5部印刷。試行錯誤が良かったのか、譜面が読みやすいと言ってもらえるようになった。譜面作成や移調を生業にしたら?と言われるくらい。しばらくJazz Sessionに週2日行く日々が続いた。ピアノは中1まで習ったのでたいして弾けないけど、作った譜面はピアノ目線になる。ギターやベース弾きさんに実際に演奏してもらってすぐ確かめていた。歌としての先入観より、プレイヤーの皆さんと化学反応が起こるか、お客さんの反応を見てレパートリーに。 FunkやPops、French、Latin、Japanese、いろんな譜面を作った。PCに保存されてる歌詞印刷したデータが入ってるフォルダには、600曲を超えるファイルが保存されている。聞き込みが足りない時は店入る前に1~2回聴いて。じっくり歌い込むより、気の赴くままに音合わせしていただいた。ホストさんは大変だっただろう。変なボーカル。 がしばらくするとSessionに来られる歌い手もプレイヤーも毎回同じで飽いた。たまに誘われて知り合いのLiveに行ってもお客さんは同じ顔ぶれ。リスナーの絶対数が少ない上にこの不景気。スナックに行けない人にとってボーカルはホステスだ。それか、本業がある人はそっちで集客する。お金と人脈も肝心だ。 もう少し歳とったらLiveバーをやりたかった。でも私が好きなアーティストさんは来てくれないだろう。私が聴きたいのは歌なのだから。だから今は店をしたいなんて思わない。Sessionに行く機会はどんどん減って、ついに丸1か月バーでは歌っていないことに気づいた。

これからもGospelに引っぱられて、どんどん疎遠になるだろう。しかしそちらの方が合っている。不思議なほどなんにも障害物がないのだ。日の当たるところで歌う楽しさ、生きてる喜びで満たされる。 


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