Red Hot Chili Peppers Can’t Stopを深堀り(Pre-Chorus 2解説)
- Keiori Takagi

- 6月15日
- 読了時間: 14分
更新日:6月18日
Red Hot Chili Peppers(RHCP)の代表曲「Can’t Stop」。今回はその中でも特に印象的なPre-Chorus 2の歌詞を日本人向けにわかりやすく解説していきます。 日頃の鍛錬で、自分たちを極限まで追い込んだその瞬間に、パッと世界が開けて、音楽の精霊(spirits)や鳥、蝶たちが味方をしてくれる「ゾーン」に入る。サビに向けて、演奏も一気にエモーショナルにじわじわとビルドアップしていく…そんなパート。 【Pre-Chorus 2】は、
先人たちへのリスペクト
がテーマです。
Pre-Chorus 2の歌詞と和訳
まずは該当部分の歌詞と和訳を確認しましょう。
```
Can’t stop the spirits when they need you
君を求めるスピリットは止められない
Mop tops are happy when they feed you
マッシュルームヘアーはエサをもらってハッピー
J. Butterfly is in the treetop
J・バタフライは木の上に住んでる
Birds that blow the meaning into bebop
ビーバップに意味を持ち込む鳥たち
```
この部分は一見すると抽象的で難解ですが、RHCPらしい自由な発想と音楽への情熱が込められています。
「Can’t stop the spirits when they need you」の意味
教科書的にいうと、
「君を求めるスピリットは止められない」と訳されます。ここでの「spirits」は単なる霊的存在ではなく、内なる情熱や創造力、音楽的なインスピレーションを指していると考えられます。
スピリットは止められない
音楽や表現への欲求は抑えられない力であり、必要とされるときには自然に湧き上がるものです。
はは~ん。なるほどね。直訳から日本人に伝わりやすい形で整えるとそういう訳し方になります。私もなりました、一瞬。でもね、
私はこういう曖昧な表現のときにめちゃくちゃ立ち止まります。 なぜなら、英語をネイティブほど理解していない理由が混ざっているように感じるから。 今回引っかかっているのは、
they は誰?
you は誰?
という疑問。
これを解き明かせば、この曲の核心に近いところに触れてしまいます。
なぜなら アンソニー は意図的に主語をぼかしているから。
「they(彼ら・それら)」や「you(あなた)」を、ガチガチの文法通りに一つの固定された登場人物(例えばメンバーだけ、とか)に当てはめようとすると、アンソニーのサイケデリックな世界観迷子になってしまいます。
ここは、「ステージに立つフロントマン(歌の人)」と「そこに集まる目に見えないエネルギーやオーディエンス」との間で交わされる、愛と本能のギブ&テイクとして捉えると、驚くほどスッキリ腑に落ちます。 主語の正体: They と You はだれ?
You(君): 歌っている「あなた自身(フロントマン)」です。ダイレクトには。
少し広めに取ると、あなたとは、演奏者・レッチリ自身のことでしょう。
They(彼ら):直前の “the spirits(スピリッツ=神聖な霊感、音楽の精霊、あるいは会場のだけど、感覚的には、
『表現そのものが、お前を呼んでいる時はもう逃げられない』
という極地です。
これ、私にもあります。憧れや自己顕示欲、承認欲求などから、若いお嬢さんが元気100倍でやっているならまだしも、若さが無くなっていく30代後半で襲ってきました。
ただ重度に音楽好きで、必要で。
でも私以上に好きな人もいて、歌が上手い人も沢山いて、楽器を弾きながら歌う人もいる。物心つく頃には自分の作品を作っている人もいて…本当にステキやなと。それらすべてを愛しながら、疑うことなく出来上がった作品を観賞して、納得しながら来たはずです。
そして30半ばを超えて、メジャーどころのマーケティングに乗っかった歌に興味が失せてくる。ちょっとやり方に飽きがきてしまって、聞き方や関わり方にも退屈になってしまった。
元々、日本の音楽業界がマーケットにしている対象から少しズレていたこともあり、洋楽、それも世界中の音楽に親しんできたので、普通に生きているだけでは新しく刺激をもらう音楽がほとんどなくなってしまいました。 それでも、私の人生から音楽や映画などを取り上げると何も残らなくなってしまうので、自分の身近なところで音楽に携わる人たちと関わって、ひょんなことから応援する立場になって。ふと思う。それでも、私が歌う意味はあるんやと。 特に人前で歌おうと思わずに、ただ親しみを持って愛してきた日本の音楽と、欧米の文化に心奪われ、日本との違いを興味深く理解しながら、共感したり心動かされた洋楽を、今の自分だからこその観点で、歌えるようになっているじゃないか、と…気づいたんです。
ここまできたらもう、『業』に近い。
いや、『業』でしょう。
若いときには周りの人たちがすごく能力が高いなと素直に認めていたし、それ以前に持って生まれた美貌、生まれた環境ガチャなど外的要因のために、私などが頑張っても一体なんになるのよ(^-^;と、小さい芸能事務所にいたこともあったけど、どこかで現実を見ました。
どこかヤ〇ザな世界であることも体感し、若さは搾取、消費され、ちょっとでも有名になったらマーケットを回す役割を背負わされ、自由が無くなり、いろんなものに雁字搦めになってしまうのも見えていて。承認欲求が満たされる代わりに奴隷みたいな気持ちになるし。 元々、自分のままでどこまでも行ってみたいタイプだったので、資本主義的な競争のレールに乗らされては、結局あれだけ拒絶した親の期待に応える空っぽの自分と同じになってしまう…と危惧し、自分のやりたいことができなくなるのも困りものだなと。
あとは、人より目立つということはつまり、プライバシーが無くなり、その方の表面的な輝きだけを見て羨望のまなざしを受けたり、それと同時に相反する嫉妬などの渦巻く感情に巻き込まれやすくなるというのは、自分と周りの人との関係性からも分かっていました。
なんか、磁場が変わってしまうということがあるんです。自分のままでいると、場の秩序が荒れるときがある。それが苦手で。そういうことが個々に何度も起こってしまうであろう歌の人や役者さんにまつわる背後の景色も見えてしまうから、生きづらくなるだろうなと。
表面的な華やかさしか見えていない人からすれば、「それでも羨ましい」となってしまうところでしょう。SNSのコメント欄でもいます。表面的な輝きがあるだけでもすごいじゃないかと、皮肉っているんでしょうが。
普通の人にとっては当たり前の時間を選べず、費やした時間があるものです。私は子供の頃から、モノゴトの光り輝く面なんて氷山の一角と思っていました。輝いて見えれば見えるほど、人知れず費やした時間があったり、涙ぐましい努力を隠していることもあります。
輝いて見える人は意図せずいろんな人の闇をも照らしてしまって、子どもの頃から思わぬ嫉妬や邪魔立て、理不尽な攻撃にあってしまうことがあります。若かったし自由でいたかったので、昔はそういう生き方は出来ないなと20代前半には判断しました。 だって、自分が大事にしているものを傷つけにくる人に差し出してしまうようで。今はただ芸能界、ショービズ界におられるすべての方に敬意を持っているというか。私自身はいちリスナーとして存在するのがちょうどいい。と、望んでいなかったです。
FMラジオのDJになろうかと情報収集したこともありましたが、それにせよ番組のスポンサーが推す、あんまり推したくないアーティストさんをパワープッシュしなあかんお仕事でもあり...とても現実的だったなと振り返ります。フワフワしていなかった。
色々見えてしまって、それでもやりたいなんて覚悟持つよりも恐いなぁと思うことのほうが多く、真っ当に生きようと、勢いだけでは動いていませんでした。
ところが若さが無くなってくると自分にフィットした音楽が少なくなってきて。そこへ、若い頃みたいに搾取や消費の対象にならなくなったこともあり、未知の領域が既知に変わって恐くなくなりました。今は自分の出来る範囲でやってみるべきでは、となった。 なるべく資本主義に偏りすぎない方法で、自分のままでやっていける方法もあると分かり、どうせ独自ルートで歩んでいるんだからと、他の人がどうとかって比べる人がいなくなってしまった。
若い時にはたーっくさんいた似たような憧れを持つ人が年々、いなくなっちゃった。周りではもう、私1人くらいしかおらんのちゃうか??というとこまでなっている、と分かったんです。
例えば、私が人間関係に疲れて、
「こんなことをして一体何になるの?」「もうやめようかな」と思っても、そうはならずにまた戻って、気づけばイベントを回そうとしてしまうこととか、
「ライブの数を、減らさんなあかんなぁ」と心底思って、活動のあり方から変えていこうとしても、ありがたいことにステキな方からお誘いを受けたりして、色々悩んだ末にまた歌う。
それが
Can't stop the spirits when they need you
表現そのものが、お前を呼んでいる時はもう逃げられない
という状況にさらされたとき、なんだと腑に落ちました。
うわぁまた脱線長いことしたな…スイマセン。でも伏線として必要。
先ほど、
They と You はだれ?
のところで、
You(君): 歌っている「あなた自身(フロントマン)」。
演奏者・レッチリ自身
と定義しましたが、
「歌っているあなた自身」の中には「聴き手である私」も含むことが分かります。
ちゃんと意味を理解して発信しようとする時点で、Youの仲間入り。
この曲を歌おうとする人、演奏しようとする人はすべて、You。
転じて、というか。ココまで来てやっと、
広い意味では、聴いて楽しんでいる、すべての人も含まれるでしょう。
意味を分かって聞いているならば。
レッチリのLIVE動画を観ていると、オーディエンスもみんな歌っています。ただ踊って騒いでいる人もたくさんいます。
そうやって『Can’t Stop』の世界になんらかの方法で浸っている時点で、『表現しようとするスピリットから呼ばれて、もう逃げられなくなっている』からです。
They(彼ら):直前の “the spirits(スピリッツ=神聖な霊感、音楽の精霊、あるいは会場のだけど、感覚的に問題になっているのは、
spiritsって誰やねん
ですよね。ここで日本語歌詞和訳サイトなどでは、
精霊、とか、魂
とか訳す。でもネイティブはもっと曖昧に受け取っています。
少なくともアンソニーの世界ではspiritsとは、
音楽
インスピレーション
創作衝動
文化
芸術
バンド
仲間
オーディエンス
全部を含んでいる。だから私はこの部分を
表現したがっている何か
くらいで受け取っています。
模範的な日本語訳の、
「君を求めるスピリットは止められない」より、 「表現そのものが、君を呼んでいる時はもう逃げられない」
という言い回しになります。
同じことを言っているようで、
本来の英語が持っている言葉の強さが変わってくる訳し方になるかな、と思いました。
→ “降りてきたら最後、もう書くしかない・歌うしかない” というアーティストの感覚でしかないな…。
演奏者へのメッセージ
自分の中の創造的な衝動を信じて、止めずに表現し続けることの大切さを示しています。
「Mop tops are happy when they feed you」の解釈
「Mop tops」はビートルズの初期の髪型を指す俗語で、ここでは音楽的なルーツや影響を象徴しています。


つまり、60年代カルチャー。
カウンターカルチャー。音楽共同体。ヒッピー。その象徴。
マッシュルームヘアーはエサをもらってハッピー feed you = 君にインスピレーションを与える
→ “過去の文化が、今の俺を刺激してくれる” という意味。
つまり、音楽の源泉や影響を受けることで喜びが生まれるという意味です。
単なる髪型の話じゃない。
文化の先人たちが、次世代に餌を与える。そして、
その餌を食べて、新しい表現者が育つ。
という循環。
音楽の継承と影響
RHCPは多様なジャンルを取り入れており、ビートルズのような偉大な先人たちからの影響を受けていることを示唆しています。
演奏者へのヒント
自分のスタイルを築くために、過去の音楽や文化から学び、吸収することが重要です。
「J. Butterfly is in the treetop」の意味
表面的な意味では、このフレーズは一見謎めいていますが、「J. Butterfly」は蝶を意味し、自由や変化の象徴と考えられます。
木の上にいる蝶
高い場所にいることで、広い視野や新しい視点を持つことを表しています。
変化と成長の象徴
蝶は幼虫から成長し変態する生き物。音楽家としての成長や変化を暗示しています。
でも、アンソニーがこの人物を引用しているとしたら…

Julia Butterfly Hill(ジュリア・バタフライ・ヒル)

彼女は1997年から1999年まで、
伐採される予定だったレッドウッドの巨木「Luna」の上で生活し、
738日間木を降りなかったことで有名です。

すると、
J. Butterfly is in the treetop
は急に意味深になります。
単なる幻想的な蝶ではなく、木の上で世界を守ろうとしている人
という読み方ができる。しかも面白いのは、Can't Stop 全体が
ストリート文化
パンク精神
カウンターカルチャー
社会への異議申し立て
を含んでいること。だからJulia Butterfly Hill を知っていると、『木の上にいる蝶』ではなく、
信念のために木の上に住んでいる活動家
という姿を表現していることになります。なので、可能性の高さで言うと
第一候補 Julia Butterfly Hill
第二候補 変容の象徴としての蝶
として私は捉えています。
演奏者へのメッセージ
蝶々が、木のてっぺん(treetop)という一番高い特等席に止まって、私たちの演奏を上から見下ろしているようなイメージになります。
彼女を見習って、自分たちの信念を貫くためなら、徹底的に戦う姿勢、というのが求められるかもしれません。
「Birds that blow the meaning into bebop」の解説
表面的な意味としては、「bebop」はジャズの一種で、即興性や複雑なリズムが特徴です。このフレーズは「ビーバップに意味を持ち込む鳥たち」と訳されます。
鳥たちが意味を吹き込む
自由に飛び回る鳥が、即興的で複雑な音楽に新たな意味や感情を与えているイメージです。
音楽の即興性と創造性
RHCPの音楽にも即興的な要素があり、自由な発想が重要視されています。
ただし、私は元々ジャズ界隈の人間。ここでこの人の名前を出さない、気づかないわけがない。
私は、Birdと呼ばれた人について少しだけ知っています。

ジャズを知っている人間は
どうしてもBird = Charlie Parkerを連想する。

Charlie Parker は、「ビバップを完成させた人」
あるいはもっと大きく言うと、
「ジャズをダンス音楽から芸術音楽へ変えた人の一人」です。
アンソニーはこういう言葉遊びが大好きです。
一つの言葉に
文字通りの意味
実在人物
文化的引用
を重ねる。だからこの部分は二重写しで読んでいます。
表面 鳥たちがビバップに意味を吹き込む
裏面 Charlie Parker のような革新者たちが
音楽に魂を吹き込む
もっと言うと、アンソニーがもしBirdを意識していたなら、
この一行は、Charlie Parkerたちが、音の羅列だったものに魂を吹き込み、新しい時代を作った
という讃歌にも聞こえます。そしてこのCan’t Stopという作品を通してBirdを位置づけると、
彼は上手かったから偉大なのではなく、
『世界がまだ見ていない波を先に見てしまった人』
なんですよね。”波”、また”波”です。 先ほどのJ. Butterflyのところには書かなかったけど、
アンソニーはジャズも大好きらしいし、
調べていたら、Milesの『Super Chief』の元ネタ人物に、J. Butterflyにちなんだ人がいる…という説もあったくらいです。私も完全には否定しないけど、今回は第三候補。少数派として受け取っています。
私の脳内を映像化するなら、
木の上にいる女性活動家が、一瞬、発光する蝶と重なって見える。
そしてその上空をBird(Charlie Parkerでもあり鳥でもある)が飛んでいく。
そんなRHCP的な多重露光の方が、この曲の夢の論理には近い気がします。
Birds that blow the meaning into bebop
birds = 音楽の精霊
blow = ジャズのスラング(吹く=演奏する、日本でもサックスの演奏などで、『とてもブロウしている』とそのまま表現されることもあります。)
bebop = ジャズの象徴
→ “音楽の精霊がビーバップに意味を吹き込む”
鳥たちのさえずり(吹く=blow)は、人間からすればただの雑音かもしれない。でも、彼らの鳴き声こそが、ジャズ(bebop)の複雑なアドリブの「起源(本当の意味)」なんだ。
鳥も、蝶も、先人も、精霊も、みんなが君たちの周りに集まって、一つの巨大な「セッション」をしている。
という景色が見えてきます。
RHCPの「Can’t Stop」から学べる演奏者へのポイント
このPre-Chorus 2の歌詞を通じて、演奏者が意識したいポイントをまとめます。
内なるスピリットを信じる
自分の音楽的衝動を止めずに表現し続けること。
音楽のルーツを大切にする
先人の影響を受け入れ、自分のスタイルに活かす。
常に成長し変化する
新しい視点を持ち、音楽的に進化し続けること。
即興性と感情を込める
技術だけでなく、感情や意味を演奏に吹き込むことが重要。
[Pre-Chorus 2]:窓の外に広がる奇妙な世界
宇宙船の窓の外を見ると、なぜか宇宙ではなく「おかしな地球の森」が見えている…というSF的な切り替えをします。
1行目:Can’t stop the spirits when they need you
イメージ: 森から不思議な精霊(spirits)のエネルギーが湧き上がってくる。これは止められない!
2行目:Mop tops are happy when they feed you
イメージ: 木の下を見たら、マッシュルームカット(Mop tops=ビートルズみたいな奴ら)が楽しそうにエサを食べて喜んでいる。
3行目:J. Butterfly is in the treetop
イメージ: 木の上(treetop)を見上げると、今度は伝説の蝶(J. Butterfly)が止まっている。
4行目:Birds that blow the meaning into bebop
イメージ: その周りを鳥たち(Birds)が飛び回りながら、ジャズ(bebop)のリズムでさえずっている。
💡 歌い繋ぐためのワンポイント
[Verse 6] の最後の単語 “steering(ステアリング)” の「ス」の音の余韻を残したまま、[Pre-Chorus 2] の頭の “Can't stop(キャンストップ)” の「キャ」へ飛び込むのがコツです。
操縦(ステアリング)を放棄して、そのままスピリット(精霊)のファンキーな世界へダイブするイメージを持つと、言葉のつなぎ目が滑らかになりそうな予感。
まとめ
RHCPの「Can’t Stop」Pre-Chorus 2は、音楽に対する情熱や創造力、成長の過程を象徴的に表現しています。音楽は単なる技術ではなく、内なるスピリットを解放し、過去から学び、自由に進化し続けるものです。


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