先日、ひょんなことで大学生の男の子とひと回り歳上の男性と音楽でsessionしたときのこと。
大学生の子は、外国語関係の大学で学び、JAZZ研に所属しているらしい。ピアノとベースを弾く。その日はたまたまピアノがあったので弾いてくれた。
すぐに移調は難易度が高く、黒本に載っているそのままのkeyに合わせて、私も歌で参加した。
黒本に載っているような原曲keyは、大体は男声向けのため低い。All Of MeはCに。いつも私が歌っているのはFで、どちらかというと正反対みたいな角度になるというか、すごく離れている。音程的に。
でもそういう方のために私みたいなVocal Rangeの広い歌の人も居るんで。なんとか工夫して原曲keyでもいけるように歌を進行させる。
例えば音程そのものを上に上にアゲアゲ歌うか、ピアノでいうと自然に左手に突入したときのE(低いミ)の音までは歌ってしまう。
直前の音によって声帯の位置関係をリセットする必要がある場合、角度とタイミングを整える一瞬のま(間)を頂けたらもう少し下まで出るので調整しもって進行進行。
ジャズ研では歌ってくれる人はいないとのこと。だから有難がってくれました。こんなので良ければいつでも呼んでや~って返事をした。
どんな歌も歌うんですか?っていう質問に、「たまたま歌詞を覚えていなかったらScatに切り替えるだけ。器楽的に歌うほうをメインに考える。」
「Keyはいつものではなく無理して歌ってみようとするのだから、咄嗟にはお聞き苦しい箇所もあるかもだけど、基本Any Key's OK.で。」と説明してみた。
Keyのところについては、話しているお相手、一緒に演る人によっては見解がくっきり分かれる。だから少しナイーブだ。
まだsessionなど始めたての6~7年前、ピアノの女性とご一緒したとき。「Mistyがやりたい。歌ってほしい。けれどもキーは黒本のまま(=原曲のまま、男声key)でしか・・まだ弾けない。」ということで、私がそのままそのキーで歌えますよとなった。
歌えているが途中咄嗟の判断に迷ったところなどでお聞き苦しくなったりしたと思う。何事も勉強勉強と、それはそれでよい経験になった。
ところがお店のカウンターで聴いていた常連の男性は「タカギちゃん、キー高すぎるわ。お聞き苦しくなってるんじゃないのかな。」としたり顔。
そんなことは分かっているのだけれど、多分この常連さんの中には「Jazzの歌伴は基本的にボーカルのkeyに合わせなきゃ。」「ボーカルが歌いやすい、もっとも聴かせやすい、心地の良いkeyで演るべきだ。」などの考え方にプライドを持っていた。
もちろんLIVEなどではそうあるべきなのだろう。でもSessionだし、しかも初心者どうしでやっていることになんで口出ししてくるんだろう。
その方も演奏をされるから気になって、しかもお酒を飲みながらゆったりと聴きたかったのに、少し甲高いMistyになったのが嫌だったのか。SessionにLIVEクオリティを求めに来ているのもなんだか違う気がするし、冒険の出来なさが窮屈に感じたのを覚えている。
いつもならkeyはCで、私が悩みに悩んで選定しただけあって、独特の高低感&空気感が保たれる。でもそんなありきたりのことをやってばかりでは私もつまらないし。失敗したら失敗から学べばいいんじゃないかなとも思う。
Funk Session向けの曲でもPOPS系でも、雰囲気を壊したくない&演奏の人には原曲でやってほしい等々、私の願いもあってわざと低いkeyのままいってしまう曲が多数ある。
なぜそんなに原曲にこだわるの?自分が気楽に歌えるkeyに移調したらいいのにって声をたまに聞く。でもSessionでそうやって頂いた意見を統合して、LiveではKeyを選ぶので私としては色々試している。試してみる”場”となっている。
Sessionの〆に、全員で歌うことになったとき、All Of MeやOn The Sunny Side Of The Streetなどを歌うことがある。ホストさんの技量で、急に男声keyから女性keyに変更して女性にも歌えるようにしてくれることもあった。
それはそれですごい。でもそういうことが出来ない場も何度か経験しているからAll Of Meやサニーサイドは原曲keyでの歌い方も、自分の中で馴染んできている。
All Of Meは、頑張らなくてもVocal Range内におさまっている。だからそのまま歌うだけだ。サニーサイドはビリーホリデイバージョンを参考に、上め上めで⤴攻めていくと奥行きが出る。
それもこれも、家での調整とともに、現場であれこれやってみて失敗も沢山してみるということだと思う。SessionにLiveクオリティを求められようが関係なく、マイペースにやらせてほしい。Liveと勘違いしてるなら、また別の機会にいらしてね~と。
いつ歌っても毎回焼き直しみたいなのは退屈だし。自分に課した方向性はそういったボーカルではない。お飾りみたいに、学校の学芸会みたいに決まったことをやるのでなく、いろんなことに柔軟に対応出来る、Session Vocalistで。
今は全方向には難しくても、徐々に対応できることが増えれば。周りの演者さんの音をしっかり聴いて、聴いたうえでアウトプットされる声に反映出来れば。
回転焼やドラえもんのカステラみたいに同じようなものがどんどんできると思ったら大間違い。失敗やらいろんな反応、感想をフィードバックして、よく分かった上で形を変えて。
生モノみたいな、そのときその場で出来上がる歌で。ワタシと誰かの過ごした時間を特別なものに。それが私のような歌の人が存在する理由にもなっている。そんでええ。
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